🧠 ヨミノ博士ブログ|第33話|誰が“変わらないこと”で得をしているのか?

社会と地域

見えない支配に、名前をつける──『空気という名の組織支配』シリーズ 4/15

「これって意味あるの?」

そう思っても、誰も言い出せない。

仮に言ったとしても、「今さら変えられないよ」「上の判断だから」で流される。

そして不思議なことに、誰も得をしていないように見えるのに、“去年と同じこと”だけが静かに繰り返されていく。

──でも、本当に誰も得していないのだろうか?

「変えよう」とする人だけが責任を負い、

「変えない」ことを選んだ人は、何も問われずに済む。

その非対称の中で、“声を出す側”が沈黙し、

“何もしないこと”が最適化されていく。

今回は、

「なぜ変化が起きないのか?」

「誰が“変わらないことで得をしているのか?”」

──空気の奥に仕込まれた“利益と排除の構造”に迫ります。

カクトくん
博士、前回“去年と同じを続ける理由”を話したけど…今回は「その構造で、誰が得してるの?」ってのが気になって。
ヨミノ博士
いい視点だ。変化を避ける構造があるなら、それによって“守られる人”や“得をする側”がいるはずだね。
ミツキさん
PTAとかまさにそう。行事を減らそうとしたら「上からの方針があるので…」って止められた。上って誰?って感じ。
キクネさん
消防団もそうですね。「操法は伝統」って言われて。でもやってる方は疲弊してるし、若い人は入ってこない。
カクトくん
でも変えようとすると、怒るのはむしろ現場の人だったりするよね。不思議。
ヨミノ博士
それは、“変わらない方が安心”という心理が働いているからだ。そしてその安心が、上位構造にとっても都合がいい。
ミツキさん
つまり、上の人は変えたくないし、現場も不安だから従う。で、誰も本当のこと言わなくなる──ってことか。
キクネさん
そして若手や新しく入ってきた人が「これって必要ですか?」って言うと、“空気読めない”って排除されちゃう。
カクトくん
その結果、外から誰も入ってこなくなって…内輪だけで回して…でも実は誰も得してないっていう…矛盾だらけじゃん。
ヨミノ博士
“変化しない構造”は、表面上は誰も責められず、裏では“誰かの立場”を静かに守る。そうやって不可視の利益が温存されていく。
ミツキさん
でもその“利益”って、リターンじゃなくて“面倒を回避する権利”だったりするよね。得というより、“逃げ得”って感じ。
カクトくん
あー、なんか…これって仕組みというより、もう“自動反応”に近いよね。変えようとした瞬間に、空気がピッと拒絶する感じ。

 

違和感のおさらい

1つ目:変化を提案した人だけが“責任”と“説明コスト”を背負わされる構造

改善の声を上げた瞬間、前例や上位組織を盾に「今は無理」と跳ね返される。声を上げた人が孤立し、沈黙が安全策として最適化されていく。

2つ目:“現状維持”が誰かのポジションや安心感を守る装置になっている

上位組織や役職者にとって、変化は手間でしかなく、“今のまま”が最も都合がよい。守られているのは本質ではなく、形式と立場である。

3つ目:変わらないことで、外部からの参加や若手が遠ざけられている

新しい人の視点や疑問が“空気を乱すもの”として排除される結果、組織は静かに硬直し、未来から切り離されていく。

この3つが重なることで、

「誰も積極的に得していないのに、“変えようとする人”だけが損をする」

という不可視の損得構造が生まれている。

結果として、組織は衰退しながらも、誰にも責任が問われないまま進行する。

 

カクトくん
博士、今回のこの感じにも、名前をつけたいです。“変えようとすると面倒が増えて、結局誰も動かない”っていう、あの空気…。
ヨミノ博士
では、まずこう呼んでみようか──「無風安定構造」。何もしない限り、波風が立たずに済む状態を表しているよ。
ミツキさん
うーん…それだとちょっと上品すぎる気がする。実際は、変えようとした人が“自動で弾かれる”感じがあるんだよね。
ヨミノ博士
なるほど。では、もう少し具体的に──「改革跳ね返し構造」なんてどうかな。提案が自動的に跳ね返される様子を捉えている。
カクトくん
あー…でもなんか、“誰かが跳ね返してる”っていうより、仕組みそのものが変化を拒んでるような感覚があるんだよな。
ヨミノ博士
それなら──この構造をこう名づけよう。「変化排除システム」。誰かの意図ではなく、空気と形式が“変化を遠ざける仕組み”として働いている。
カクトくん
博士、それです!“誰も悪くないのに、変わらないように設計されてる”っていう、この空気…まさに“システム”そのものだ。

 

まとめ

 

誰も明確に“得している”わけじゃないのに、変化だけが排除されていく。

それは、変えようとした人が責任と手間を背負い、

変えない人は“空気”に守られる構造があるから。

しかもこの仕組みは、誰かの悪意ではなく、

“安心感”や“前例”という名の無意識な動きの中で自然と作動してしまう。

新しい声が届かず、疑問が押し戻され、若い世代が距離を置く──

そんな見えない淘汰を生み出す空気を、私たちはこう名づけた。

──「変化排除システム」

それは、問いかけすら跳ね返す空気の正体。

カクトくん
博士って…なんでそんなに、構造の裏側まで見えるんですか?普通、あんなの気づけないですよ。
ヨミノ博士
それはね、私は“人より俯瞰する視点”を持っているからだよ。地上の風に逆らわず、空の上から流れを読むように、仕組みを眺めているんだ。
カクトくん
たしかに…僕らは“目の前の空気”しか感じられないのに、博士は“その空気を生み出す構造”を言葉にする。
ヨミノ博士
感情はきっかけにすぎない。でも構造に言葉を与えることで、それは“ただの不満”ではなく、“社会への問い”になるんだよ。

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