パブリックコメントはこちら:https://www.city.nanto.toyama.jp/soshiki/senkyo/11/5868.html
前回の記事はこちら:https://yomilab.com/story-9/
第9話で描いたのは、支援制度の“見えにくい片寄り”だった。
投票所がなくなった地域への支援。その優しさは、実際にはごく一部の人にしか向いていないのではないか。そう感じた私は、その違和感をパブリックコメントとして市に提出した。
ただ一つ、あえて書かなかった問いがある。
──これは山間部のお年寄りだけを支援する制度なのでは?
攻撃的になりすぎる気がして、そこは避けた。
けれど返ってきた返答は、それをはっきりと認める内容だった。
今回はその返答をもとに、制度はどんな声に応答し、どんな問いを“聞かなかったふり”をするのか
その構造を見ていく。
カクトくん
博士、第9話で話したこと、パブリックコメントで市に提出してたんですよ。
ヨミノ博士
ほう、それは構造への問いを制度に投げたということだね。返答はどうだった?
カクトくん
うーん…制度の説明は返ってきたけど、「僕の問いに答えた」とは思えなくて…。特に“誰を見ていて、誰を見ていないのか”って部分は、完全にスルーされてた感じでした。
ヨミノ博士
なるほど。つまり返ってきたのは、“問いへの返答”ではなく、“仕様の説明”だったということか。制度は“聞こえる範囲”だけで応答するからね。
ミツキさん
ちょっと待って…でもその制度説明って、要するに「山間部のお年寄りだけ支援します」ってことじゃない?
ミツキさん
それって、制度の偏りを認めたようなもんだよね?ていうか、市長の顔色うかがってない?忖度、あるわ。
カクトくん
正直、僕はその“地域の偏り”については、あえて書かなかったんです。攻撃的にならないように。でも市は、そこを隠さずむしろ明文化してた…。
ヨミノ博士
それはつまり、「配慮として避けた問い」が、制度の側から“無自覚に開示された”ということだ。ある意味で、制度は自分の“見ている方向”を正直に示してしまった。
カクトくん
つまり僕の問いは、制度の“耳の外”にいたってことですよね。届いたけど、意味は届いてなかった。
ヨミノ博士
そう。これは“既読スルー構造”の典型例だよ。問いは届いた。でも、制度の構造は、それに応答する設計になっていなかったんだ。
カクトくん
制度に答えてほしかったわけじゃない。でも、“見ようとしていない姿勢”は記録しておきたいと思ったんです。
ヨミノ博士
その記録は、制度に届かなかった問いの、もうひとつの形になる。君が見たものは、問いの力そのものだったんだよ。
【構造分析:なぜあの返答になったのか?】
◾ 1. 制度は「説明できること」しか返せない
→ つまり、制度は「どうなってるか」は説明できても、「なぜそうなのか」には答えられないつくりになっている
◾ 2. 見えていない人のことは、制度の中では“いないこと”になる
-
市外に住んでいる若者
-
障害があるけど対象条件に当てはまらない人
-
別の方法(郵送投票など)を使いたい人
→ こういう人たちは、制度の中では最初から“いないもの”として扱われている
◾ 3. 結果、「返事が来たのに、何も答えてない」という状態に
カクトくん
僕はね、あえて書かなかったんですよ。「山間部のお年寄りだけを支援してるんじゃないか?」って。強くなりすぎると思って。
ミツキさん
でも市の返答って、それをハッキリ認めちゃってたよね。「対象は投票所がなくなった地域で〜」って。
ヨミノ博士
つまり制度は、君が配慮して避けた問いに、自ら“明文化”というかたちで答えてしまったということだ。
カクトくん
なんだか…届けたかった問いがすり抜けて、別の形で制度から返ってきた感じでした。意味が返ってこなかったというか。
ヨミノ博士
それが“既読スルー構造”の正体だよ。読まれたけれど、応答されない。問いが制度の外側に置かれてしまったんだ。
ミツキさん
制度が書いちゃったんだね。“誰を支援するか”だけじゃなく、“誰を見ないか”まで。
カクトくん
制度に問いは届いた。でも意味は返ってこなかった。それでも僕は、見えてないものをちゃんと問いたかったんです。
ヨミノ博士
その姿勢こそが、“声にならなかった構造”を見える形にするんだよ。君の問いは、制度が聞き取れなかったものの記録なんだ。
声は届いていた。けれど、意味は返ってこなかった。
制度にとってそれは、「答えなくていい問い」だったのかもしれない。
でも、問いを投げた自分には、明らかだった。
見えていたこと、そして見えていなかったこと。
そんなとき、ふと思ったのだ。
カクトくん
博士って…なんでそんなに、制度のズレとか、言語化できるんですか?
ヨミノ博士
それはね、私は“人より構造が先に見える”からだよ。空の上から地図を見るように、制度や仕組みのつながりが見えてしまうんだ。
カクトくん
たしかに…僕らは「なんか変だな」って思うくらいだけど、博士は最初から“どこがズレてるか”を教えてくれる…。
ヨミノ博士
感情は、大事なヒントになる。でもそれだけじゃ曖昧なまま。構造を言葉にできたとき、それはただの違和感じゃなく、“問い”になるんだよ。
✅ 次回予告
届かなかったのは、私の問いだけではなかった。
パブリックコメントの中には、他にもたしかな違和感や提案があった。
けれどそれらもまた、制度の内側には吸収されなかった。
次回は、“私以外の声”に制度がどう応答したかを読み解いていく。
見えない“選別のまなざし”が、そこにも現れているかもしれない。
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