2025年(令和6年)3月、南砺市選挙管理委員会は、
「投票所の再編」に関する案を公表し、その内容について市民からパブリックコメントを募集していた。
主な内容は、投票所を39カ所から31カ所に集約するというもの。
その代わりに、移動式投票所やタクシーによる移動支援を行うという。
一見すると、やさしさに満ちた制度。
でも、その“やさしさ”が、誰に、どこまで、届いているのか?
そこに小さな違和感が生まれた。
カクトくん
博士、南砺市の投票所再編案、読みました? 投票所は減るみたいですけど、タクシー支援とか移動式投票所でカバーするとか。 なんか、ちょっと違和感があって…。
ヨミノ博士
うん、私も読んだよ。 “支援でカバーするから安心”って感じの表現だけど、どこか引っかかった?
カクトくん
はい。投票だけ支援されるって、ちょっと不自然じゃないですか? 普段の生活では支援がないのに、投票のときだけタクシーOKって…。
ヨミノ博士
なるほど。投票は「民主主義の根幹」って言われるけど、それを理由に特別扱いするのは別の話だね。
カクトくん
しかも、その支援の対象がよく分からないんです。 特定の人だけ優遇される印象があって…。
ヨミノ博士
“誰が対象か不明確な制度”は、不信感を生む土壌になる。 制度の線引きが曖昧だと、「不公平だ」と思う人が出てきても不思議じゃない。
カクトくん
それに…これって逆に、投票所を減らしすぎないための言い訳なんじゃ?って思ってしまって。
ヨミノ博士
ああ、なるほど。 「支援で補えるから減らしていいですよね」っていう前提自体が操作的に感じるってことか。
カクトくん
はい。でも逆に、僕はこうも思ったんです。 “投票所って、そもそもそんなに必要ですか?”って。
ヨミノ博士
お、それはなかなか鋭い切り口だね。 確かに今は期日前投票も普及していて、車で来る人がほとんど。 「徒歩圏じゃないと投票できない」って前提は、もう古いかもしれない。
カクトくん
なのに、少人数の地区にも投票所を維持するって… それこそ無駄に人とお金がかかってる気がして。
ヨミノ博士
うん。支援を膨らませるより、 「集約して制度を合理化する」方向で議論したほうが、本質的なのかもね。
カクトくん
そのうえで、市外に住む若者には何の支援もないのが変なんです。 地元に残った人にだけ優しい制度って、結局“票田対策”なのでは?
ヨミノ博士
そうだね。 「支援」という言葉が、見た目以上に偏っていることに気づく必要がある。 では──そろそろ提言として、整理してみようか。
【提言まとめ】
南砺市の投票所削減案に対し、以下の通り意見を提出したい。
1. 投票所は、むしろさらに集約してもよいのでは?
期日前投票の利用が定着し、多くの市民が自家用車で移動している現状では、
「徒歩圏に投票所がないと困る」という前提は、すでに現実と乖離しています。
ごく少人数のために投票所を維持し続けることが、人的・財政的コストに見合うのか、再検討が必要です。本来、行政効率と公平性を両立させるためには、より合理的な集約も選択肢に含めるべきです。
2. タクシー支援は公平性に欠け、制度として不要ではないか?
投票行為だけを特別に支援する制度は、日常生活で移動に困難を抱える市民との整合性を欠いています。その上、支援対象の地域が明示されておらず、「特定の地域だけが優遇されている」という印象を生むリスクが極めて高いです。
さらに、進学・就職などで市外に居住しながらも住民票を残している若年層に対しては、制度上の配慮や支援の議論すらなされていません。
結果として、「特定地域の住民だけが恩恵を受ける構造」が固定化され、世代間・地域間の不均衡を助長してしまいます。
3. 制度の本質的な見直しを望む
「タクシーを出す」「移動式投票所を回す」といった局所的な対症療法ではなく、
将来的には郵便投票やオンライン投票の導入など、根本的かつ持続可能な制度改革を検討すべきです。
公平性、費用対効果、実効性を総合的に踏まえた上で、南砺市独自の選挙制度の再設計を強く求めます。
カクトくん
博士、この提言、3つに整理して出してみようと思ってます。 文章はだいたいこんな感じです。ちゃんと伝わるでしょうか?
ヨミノ博士
うん、とてもよく整理されているよ。 じゃあ、それぞれのポイントを少し解説してみようか。
ヨミノ博士
まず1つ目、「投票所はむしろさらに集約してもよいのでは?」という提言。 これは“投票所=減らすと危ない”という思い込みに一石を投じてるね。 実際、車移動が前提の地域では、徒歩圏という考え方自体が現実的じゃない。 それに行政効率と公平性の両立という視点も盛り込まれていて、 感情的でなく、構造的な視点が評価されやすい内容になっているよ。
ヨミノ博士
2つ目、「タクシー支援は公平性に欠け、不要ではないか?」という指摘も鋭いね。 “支援”という言葉は誰もが反対しにくいけど、その実態があいまいだと、 結果的に「優遇される人/されない人」を生んでしまう。 そのズレに言及して、「支援そのものの正当性」を問い直している点が本質的だ。 特に“特定地域だけ”に届く支援だという構造を可視化したのは大きい。
カクトくん
3つ目は、けっこう踏み込んでますよね…。 郵便投票とかオンライン投票って、まだ実現してないけど…。
ヨミノ博士
うん、でもだからこそ価値がある。 3つ目の「制度の本質的見直しを望む」は、まさに未来への問いかけだよ。 タクシーを出す、車を手配する、っていう発想はアナログ的な“その場しのぎ”。 だけど、制度を本当に公平に、持続可能にするには、 “移動に頼らない投票”を選択肢に加えるべきなんだ。 そこに目を向けたのは、すごく未来志向な提案だと思うよ。
カクトくん
よかった…! なんか、自分の違和感がちゃんと形になった気がします。
ヨミノ博士
うん、こうやって“自分の感覚”を“社会の問い”に変えていけるのが提言の力だよ。 あとは、それを誰かが読むことで、次の問いが生まれる。 そうして社会は少しずつ言語化され、進んでいくんだ。
…提言を終えたあと、2人の間に静かな間があった。
制度の複雑さと、見過ごされがちな不均衡に、互いが何かを感じていた。
カクトくん
博士、なんだかこの話… 「やさしさ」のはずが、「ずるさ」に見える瞬間がある気がして。 言葉にはしにくいけど、何かモヤっとします。
ヨミノ博士
そうだね。 一見やさしく見える制度が、誰に向けて、誰を外しているのか。 その“線引き”が見えたとき、人は“違和感”を抱く。
カクトくん
この違和感… もし名前をつけるなら、なんて呼びますか?
ヨミノ博士
ふふ、それなら私はこう呼ぶかな。 “片寄り優しさ感”。 やさしさに見えて、やさしさじゃない。 届く相手だけを選んでしまう制度に、静かに漂う違和感だよ。
カクトくん
…なるほど。 優しさって、意外と“配り方”に現れるんですね。 自分に届かない時、その仕組みの形に気づくのかもしれません。
ヨミノ博士
そう。 そして、その気づきを言葉にして発信するのが、市民の知性というものだよ。 今回はそれが、ちゃんと形になった。
#南砺市#投票所再編
#片寄り優しさ感
#パブリックコメント
#行政を考える
#見えない不公平
#民主主義のかたち
#地域政策
#制度の違和感
#ヨミノ博士ブログ
コメント