🧠 ヨミノ博士ブログ|第15話|“答えたふり”で終わる制度──3ザル現象(見ざる、聞かず、言わざる)

社会と地域

パブリックコメントはこちら:https://www.city.nanto.toyama.jp/soshiki/senkyo/11/5868.html

前回の記事はこちら:https://yomilab.com/story-9/https://yomilab.com/story-13/

 

パブリックコメントの回答が出た。でもその内容を見たとき、私は「出してよかった」とは思えなかった。
意見に触れたふりをして、実際にはスルーされている──そんな空白の返答がずらりと並んでいた。
今回は、ミツキさんのお姉さんで、隣の市役所に勤める若手職員・キクネさんが会話に参加してくれる。
“答えない行政”の現場で、彼女が見てきたものとは──。

 

カクトくん
この前、パブリックコメントに意見を出したんだけどさ…。返ってきたのは制度の説明だけで、僕が出した質問には一切触れてなかったんだ。

ミツキさん
それ、わかる。「ご意見は参考にします」ってテンプレ返しされて、はい終わり。こっちは一生懸命書いたのにって思うよね。

キクネさん
私、隣の市役所で働いてるんですが…実はああいう“触れない返答”って、内部では割とあるあるなんです。方針が最初から固まってるから、ズレる意見にはあえて触れないんですよね。

カクトくん
え、それって「最初から聞く気がない」ってことじゃん…。じゃあ何のためのパブリックコメントなの?

ミツキさん
それよりタチ悪いのは、「答えたことにして終わらせる」ってとこだよ。実際は無視してるのに、見た目だけ“聞きました”って演出されてる。

キクネさん
しかも怖いのは、そういう対応が“まじめなやり方”として評価されちゃうところです。親身に対応しようとすると逆に「余計なことするな」って空気になる。私も異動してから、それをすごく実感してて…。

キクネさん
努力しても評価されない、むしろやる気のない人が目立たない。上の人は自分ができてると思ってるけど、実は基礎もあやふやで…。それでも堂々としてる。ほんとは対話って勝ち負けじゃないはずなのに、市民と向き合おうとする人が“浮く”職場になってしまうんです。

カクトくん
それって…どうしてそうなるんだろう? 自分ができてないって、なんで気づかないの?

ヨミノ博士
それは「ダニング=クルーガー効果」だよ。能力が低いと、自分ができていないことに気づく力すら足りなくなる。だから自信満々にふるまってしまう。逆に、できる人ほど「まだまだだ」と感じやすいんだ。

カクトくん
本当は、市民と行政って同じ方向を向いて動くものじゃないの?勝ち負けの話じゃないよね。

キクネさん
でも現場では「答えないほうが正しい」って空気ができてて…。それが制度的には“問題なし”って扱われると、ほんとにやる気が削がれます。

ヨミノ博士
なるほど──これは“答えないことがリスク回避とされ、制度に吸収されてしまう構造”だ。見た目だけの返答が、じつは問いを透明化していく。名前をつけて、はっきりさせよう。

 

今回の違和感のおさらい

1つ目:市民からの問いに“触れない”返答が制度として許容されていること

2つ目:「答えないほうが正しい」という空気が現場で正当化されてしまっていること

3つ目:対応しない上司ほど“自信だけ”はあり、現場のやる気を削ぐ構造が放置されていること

この3つが重なることで、パブリックコメントは“対話の制度”ではなく“演出のルーティン”になってしまう。

見た目には“答えているように見えて”、本質的には声がすり抜けていく──。

その構造の中で、まじめに応えようとする人ほど、やがて黙っていく。

カクトくん
このモヤモヤ、ちゃんと名前つけたいな。聞いたふりして答えないって、一番信頼なくなるやつだし。

ヨミノ博士
たとえば──「擬応答現象」。答えたふりで済ませる構造だ。

ヨミノ博士
あるいは「手続き消化現象」。声を“処理”して終わりにしてしまう状態。

カクトくん
うーん、でももっと“見て見ぬふり”の感じも入れたいな。制度だけあって、実態がザルっていうか。

ヨミノ博士
じゃあ──「3ザル現象(見ざる、聞かず、言わざる)」はどう?

聞いたふり、答えたふり、でも何も変えない。“やった感”だけが残る構造だよ。

カクトくん
それ、ぴったりだ。答えてくれたはずなのに、なにも返ってこない。3ザル現象ってことか。

まとめ

声は届いていたはずなのに、答えは返ってこなかった。

でもそれが“無視”ではなく、“制度の中で答えないことが正当化されている構造”だと知ったとき、

私たちは初めて、その仕組みに名前をつけることができた。

聞いたふり、答えたふり、そして何も変えない。

その空気の中で、いつの間にか「声を上げること」自体が失われていく。

──これを、3ザル現象(見ざる、聞かず、言わざる)と呼ぶことにしよう。

カクトくん
博士って…なんでそんなに“答えてないこと”に敏感なんですか?普通、気づけないと思うんだけど。

ヨミノ博士
それはね、私は“人より応答に飢えている”からだよ。空の上から町を眺めるように、誰と誰がつながっていないかが見えるんだ。

カクトくん
たしかに…僕らが感じてるのは「無視された」っていう寂しさなのに、博士はそれを“仕組み”として見てるんですね。

ヨミノ博士
感情はヒントになる。でも構造を言葉にできたとき、それはただの違和感じゃなく、“問い”になるんだよ。

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