📂 シリーズ:なぜ“住みやすい街”から人が出ていくのか?
第1章「住みやすさと『住みたい』のズレ
「富山県って、住みやすさランキングでいつも上位らしいですよ?」そう言った僕に、博士はうなずきながら、すこしだけ眉をひそめた。
富山県は、物価も安く、自然も豊かで、交通のストレスも少ない。 通勤時間、医療体制、治安、どれをとっても“暮らしやすい”要素は揃っている。
でも、若い人たちは、次々とそこから出ていく。
進学、就職、そしてそのまま帰らない。 数字では「高評価」なのに、現実では「空洞化」が進んでいる。
それって、なんだか変じゃないですか?「住みやすさ」と「住みたい」のあいだに、 何か見えないズレがあるような気がして、 今日は博士に、そのことを話してみることにしたんです。
博士、僕ずっと気になってるんですけど、富山って「住みやすい町」ってよく言われるじゃないですか。
でも、若者はどんどん県外に出ていって、戻ってこない。
なんでなんでしょう?住みやすいなら、住みたくなると思うんですけど。
でも、若者はどんどん県外に出ていって、戻ってこない。
なんでなんでしょう?住みやすいなら、住みたくなると思うんですけど。
うん、よく聞く疑問だね。でもね、「住みやすさ」と「住みたい」は似ているようで、実はまったく別のものかもしれないよ。
たとえば、「通勤時間が短い」とか「物価が安い」とか、そういう条件って評価されがちですけど…
それって、今そこに住んでる人には便利でも、外から来る人には響かないかもしれませんよね。
それって、今そこに住んでる人には便利でも、外から来る人には響かないかもしれませんよね。
そのとおり。たいていの「住みやすさランキング」は、すでに住んでいる人の快適さが基準になっている。
つまり、“内向きの評価”になりがちなんだ。
つまり、“内向きの評価”になりがちなんだ。
僕、一度地元を出て暮らしたことがあるんですけど、
3ヶ月くらい経ったら、もう普通に慣れてて。「あれ?ここでも問題なく暮らせるな」って。
それで「富山じゃなくてもいいのかも」って思ったんですよ。
3ヶ月くらい経ったら、もう普通に慣れてて。「あれ?ここでも問題なく暮らせるな」って。
それで「富山じゃなくてもいいのかも」って思ったんですよ。
それは、環境に適応する力が高いということでもあるね。
“住みやすさ”の正体は、もしかすると「慣れやすさ」なのかもしれない。
“住みやすさ”の正体は、もしかすると「慣れやすさ」なのかもしれない。
しかも、地元の行事や地域のつながりって、「出なきゃいけない空気」があったりするじゃないですか。
でも外にいると、自然と「出なくてもいい理由」ができて、ちょっと楽なんですよ。
でも外にいると、自然と「出なくてもいい理由」ができて、ちょっと楽なんですよ。
うん、それも大きな違いだね。
地元に根づいていた“空気”から離れると、自分のペースが取り戻せることもある。
地元に根づいていた“空気”から離れると、自分のペースが取り戻せることもある。
実は僕、地元に戻ろうかと思ったこともあるんです。
でも転職サイトで地元の求人を調べて、給料の数字を見た瞬間に…「無理だな」って。
画面、そっと閉じました。
でも転職サイトで地元の求人を調べて、給料の数字を見た瞬間に…「無理だな」って。
画面、そっと閉じました。
現実的な話として、お金の問題は大きいよね。
「暮らせるかどうか」は、「住みやすさ」とはまた別の次元だから。
「暮らせるかどうか」は、「住みやすさ」とはまた別の次元だから。
だからって「帰らない」って決めたわけでもなくて、
なんとなくそのまま出たままになってる、って感じなんですよ。
なんとなくそのまま出たままになってる、って感じなんですよ。
それがまさに、「人の流れ」をつくっている“空気”なんだろうね。
意志というより、流れ。その積み重ねが、人口構造を変えていく。
意志というより、流れ。その積み重ねが、人口構造を変えていく。
でもそれって、別に誰が悪いわけじゃないですよね。
制度のせいとか、人の意識が低いとかじゃなくて…。
なんとなく、そうなってるだけっていうか。
制度のせいとか、人の意識が低いとかじゃなくて…。
なんとなく、そうなってるだけっていうか。
そう、“なんとなく”がつくる社会の流れ。
でも、その流れは誰かが“ちょっと揺らす”だけでも変わる可能性がある。
でも、その流れは誰かが“ちょっと揺らす”だけでも変わる可能性がある。
たとえば、「あの人帰ってきたんだ」って誰かが自然に戻ってきたり、
「戻ってもいいんだな」って思える空気があるだけで、僕みたいな人も動く気がします。
「戻ってもいいんだな」って思える空気があるだけで、僕みたいな人も動く気がします。
うん、戻る理由が「はっきりしなくてもいい」と思える町。
それだけで、人の流れはきっと少し変わるんじゃないかな。
それだけで、人の流れはきっと少し変わるんじゃないかな。
【まとめ】
「住みやすい町」から人が出ていく理由。
それは“制度”でも、“誰かのせい”でもなくて、
ただ“なんとなく”そうなってしまった社会の空気かもしれない。
でもその空気は、変えられないものじゃない。
「戻らないのが普通」だった町が、
「戻ってもいい」と思える町になる。
その変化のきっかけは、
きっと誰か一人の「帰ってきたよ」の一言なのかもしれない。



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